育児中に、夫を敵視してしまう妻の心理と対処法
私の両親は、結婚40年を超える熟年夫婦です。
ですが、とても仲が悪いです。
仲の悪さはここ5年くらいでどんどん進行しています。
現在は挨拶もせず、食事も共にせず、言い争いと忍耐の日々を過ごしています。
愛し合って結婚した2人なのに、なぜそうまでなってしまうのでしょう。
この根本の原因には、人間が陥る産後の習性が関わっていると私は思います。
今回はそんな人間の習性と、その危険性と対策を考えたいと思います。
目次
1.産後に陥る、夫を敵視してしまう妻の習性
1-1.産後に陥る変化とは
1-2.期間はどれくらい続くのか
1-3.なんでそうなってしまうのか
1-4.イライラの矛先は、一番近しい存在へ
2.衝突する危険性と衝突を避ける危険性
2-1.産後の衝突は離婚の危機になりやすい
2-2.衝突を避けるのも、長期的な不仲の原因になる
3.解決策は、理解と共感
3-1.この習性は子供を守るための本能であり、素敵な事だと認める
3-2.妻はイライラの原因が夫の行動ではない事を認める
3-3.夫は妻が子供を守るための戦闘状態になっている事を認める
3-4.認めるだけで良く、本能に抗おうとはしない事がポイント
3-5.夫は外敵ではなく、味方である事が一番の解決方法
4.まとめ
1.産後に陥る、夫を敵視してしまう妻の習性
1-1.産後に陥る変化とは
産後、妻には大きな変化が訪れます。
調べてみると『産後クライシス』と呼ばれている様ですね。
夫に冷たくなる事で、産後の離婚や別居の原因になりやすいとの事。
症状としては以下のようなものらしいです。
- 脱力感を感じ、やる気がなくなる。
- 夫に対してイライラしたり嫌悪感を抱くことが多くなる。
きちんと理解しないと妻は自己嫌悪してしまったり、
夫は変化に付いていけずに理不尽に感じてしまうと思います。
どう受け止めたら良いのか、私が考えた受け止め方を書いていきたいと思います。
1-2.期間はどれくらい続くのか
まず気になるのはどのくらいの間、そんな状態が続いてしまうのか。
これは、おおよそ2年間と言われているらしいです。
2年間、耐え忍ぶには長すぎる時間だと私は思います。
こんなに長期でいがみ合っていたら、離婚に至ってしまう心境も納得できます。
1-3.なんでそうなってしまうのか
原因としては、『ホルモン的なもの』や、
『夫と妻の親になる自覚に対する温度差』などの説があるようです。
ですが、私は以下のように思います。
『か弱い子供を守るための母親の本能が働いている』
これは、本能であり科学や理論で解説する必要のない問題だと思います。
人間や動物はよく出来ていて、必要な事だから本能が働くのです。
しかし、勘違いしてはいけないのは、
この本能は『夫を攻撃するためのもの』ではないという事です。
『子供を外敵から守るため』である事をきちんと理解していないといけません。
子供を守るために、神経は研ぎ澄まされます。
周りに悪い存在がいないか敏感になります。
他人のミスや間違いに細かく気付いたり、許せなくなる度合いが増します。
外敵と認識した存在をとことん追い詰め、撃退します。
1-4.イライラの矛先は、一番近しい存在へ
そういった攻撃的な状態に入っても、人間には理性があります。
ご近所さんや職場の同僚などにイライラをぶつけるわけにはいきません。
本能では子供のために、全てを敵にしても構わないという心境なのですが
人間が培ってきた理性は、周りと共存しなければ生きていけない事を知っています。
このギャップこそが攻撃性を内に秘めさせ、噴火寸前までマグマを溜めてしまう原因です。
行き場のない怒りは一番の近しい存在である、夫へ向かいます。
しかも、夫の『気に障る言動』がきっかけとなり大噴火が起こるため、
怒りのきっかけは夫が作った事になってしまいます。
人間は理解できないものを恐れ、はっきりと明示的にしたいため
目の前にある『小さなきっかけ』を、とても大きな『怒るべき問題』に育て上げてしまいます。
そうなると、後になって「なんであんな事で怒ったんだろう」と自己嫌悪します。
「もうしないようにしよう」と心掛けますが、それでも繰り返してしまいます。
『小さな事で怒ったこと』は根本の原因ではないからです。
妻本人でさえ理解できていない事に、夫の理解も届くわけはありません。
夫もあまりにも理不尽な内容に、妻を攻撃する事で対抗してしまうのです。
2.衝突する危険性と衝突を避ける危険性
2-1.産後の衝突は離婚の危機になりやすい
さて、ここまで考えると、この衝突は避けられないものなのではないかと感じます。
妻は本能と理性のはざまで苦しみ、理由もわからない怒りが止められません。
夫はいつ来るかわからない、改善しても変わらず降り注ぐ妻の怒りを止められません。
どうにも出来ず、本能のままに衝突を繰り返したとします。
そうなると妻は「この人とはやっていけない」という思考になるらしいです。
これも、子供を守るための本能なのでしょうね。
夫はお決まりの「女は結婚すると変わってしまう」という発想に落ち着いてしまいます。
これは理解することも向き合う事も放棄した、とても危険な考えです。
お互いに、結婚したのが間違いだったという結論に至ってしまいました。
2-2.衝突を避けるのも、長期的な不仲の原因になる
では、逆に考えて2年間の辛抱だとお互い衝突を避けて耐え続けたらどうなるでしょう。
もしくは、衝突しても離婚にまで至らないようにお互い耐え続ける状態です。
おそらく、2年間の関係性はほぼ永遠に続いてしまうのではないかと思います。
この時の怒りの根本は、それまでのものとは全く別のもになってしまっていると思います。
産後の危機的状態は脱した上で、新たな危機的状態が続くのです。
その怒りの正体は、2年間で蓄積された『恨みつらみ』だと思います。
「子供のため、家族のため、相手のため、自分は2年間耐えてきた」とお互い思う事。
納得は出来ない事でも、うやむやにしながら耐えてきた事。
いろいろな事象が複雑に絡み合って、怒りのもとを形成してきます。
こうなると、改善は非常に困難なものになってしまいます。
この先も本当の理由はわからないまま、諦めながら生きるしかありません。
その状態で、子供が親元を離れる事を考えて見ましょう。
これまでは、子供のためにお互い耐えて持ちこたえてきました。
子供が家を出れば、夫婦2人で生活をしていくよりありません。
いったいどうなってしまうのか、想像してみて頂けたらと思います。
これが私の両親が結婚40年経ってなお、険悪な関係が進行している理由の1つではと思います。
3.解決策は、理解と共感
3-1.この習性は子供を守るための本能であり、素敵な事だと認める
この問題に苦しんでいる人はたくさんいると思います。
そんな方には失礼な言葉になってしまうかもしれませんが、
私はこの本能は、とても素晴らしい事だと考えています。
子供を含めた家族が、この世で最も大切なものだと私は思います。
大切なものを、ただ素直に大切にするって結構難しい事だと思います。
本能がそれを自然にしてくれているって、とても素敵なことだと思うんです。
なので、その辛さで苦しむ事を避けられるようになって欲しいと思います。
素敵な本能が暴発しないように、どうしたら良いのかを考えましょう。
3-2.妻はイライラの原因が夫の行動ではない事を認める
妻は、本能と理性の間で蓄積させた怒りを夫にぶつけてしまう事がわかりました。
冷静になってからでも構いません、夫にそれを伝えましょう。
「本当はあたなが悪いわけではないの」と言われれば夫は納得できます。
自分が理不尽に悪いと決め付けられてしまう事が、夫は許せないのです。
そして「産後は本能のせいで危険な状態になってしまうらしい」
という認識を共有しましょう。
3-3.夫は妻が子供を守るための戦闘状態になっている事を認める
夫側から出来る事は、やはりこの事について理解しておく事だと思います。
妻の苦しさを理解できれば、溜まっているイライラも納得できるでしょう。
イライラしてしまう時期だと覚悟できていれば、
攻撃し合わずに受け止められる事もあると思います。
妻に余裕がなくなるのだから、
夫が吸収してあげられる余裕を持っておくべきだと思います。
3-4.認めるだけで良く、本能に抗おうとしない事がポイント
本能的に攻撃的になってしまう事は理解できました。
解決法として『攻撃的になるのを我慢する』事を考えて見ましょう。
誰も攻撃的な自分なんて好きになれません、抑えたいのは当然のことです。
しかし、これは本能に抗う行為です。
これを続けると、理由のわからない不安感や違和感を感じながら生活する事になります。
人間は本能的にしたい事を抑え込むのは、苦しいものだからです。
なるべく抗おうとせず、
『本能的に自分がどういう心境なのか』理解することだけを意識しましょう。
3-5.夫は外敵ではなく、味方である事が一番の解決方法
1番の解決方法は、夫婦が味方であることだと思います。
そもそも、夫が子供を守る上での『外敵』になってしまうのは不思議ですよね。
『外敵』って嫌ですよね、夫婦なのに、家族なのに、外の敵です。
夫はどうしたら『内』に入って、妻の横で協力できるのでしょうか。
ここまでまとまったら、後は2人が協力しなければいけません。
解決方法も夫婦それぞれのものが見つけられるのではないでしょうか。
何度も失敗しながら、改善を重ねていくものだと思います。
繰り返すたびに、信頼と結束は高まって成功しやすくなるので安心してください。
ちなみに、私が心掛けたい行動は以下の通りです。
- 妻の話はきちんと聞く!「ふーん、そっかー」なんて返事はしない。
- 妻の敵は自分の敵!ひねくれないで同調する。
- 辛そうな時は感情の整理を手伝う
- 物事を任せないで共有する(自分の事も)
他にもいろいろ細かい事はあると思いますが、
それぞれの家庭に合ったものを見つけて欲しいと思います。
4.まとめ
今回は産後の人間の本能から発展する夫婦関係に関して書きました。
これは後々まで尾を引く問題なので、真剣に向き合う事が必要です。
夫婦の関係は、お互いだけではなく子供の成長にも大きく影響します。
子供のための本能なのに、子供に対して悪く作用してしまうなんて嫌ですよね。
また、もう出産も子育ても終わっていまさら気付いても遅いと思う方。
手遅れになることは決してありません。
今からでも当時の気持ちに2人でタイムスリップしましょう。
「こんな話を見た、あの時キミは苦しんでたんだね」
と理解を示せば突破口になる事と思います。
お互い耐えてきた年月分、解きほぐすのは困難かもしれません。
地道にひとつひとつ、根気強く理解を深めて行きましょう。
お互いに変わりたいと思える事が、愛し合っている証拠だと思います。